RWC2015プールB展望
日本の対戦国徹底解剖<アメリカ編>

アスリート能力はセブンズで証明済み


「とてもアスレティックなチーム。7人制のようなラグビーをしたいはずだ」(エディー・ジョーンズ日本代表ヘッドコーチ)

 

「バックスリーにいい選手が揃っている。キャプテンのクリス・ワイルズ(FB)はイングランドでプレーしている選手だし経験値も高い」(FB五郎丸歩)

 

「(アメリカ戦の対面WTBザック・テストは)今年のセブンズワールドシリーズのベストセブンに入った、すごくいい選手。スピードに乗らせると怖い」(WTB藤田慶和)

 

15人制では現在、世界ランキング16位と、11位の日本よりも下位に位置するが、今年のロンドンセブンズ(セブンズワールドシリーズ)を制するなど、世界のトップ国の仲間入りを果たしている米国。

双方にとってRWC2015最終戦となる日本戦にも、7人制でも活躍する選手も含めた、個々のアスリートとしての能力が高いメンバーを揃えてきた。

 

特に日本サイドが警戒するバックスリーはFBワイルズ主将に、テスト–タクズワ・ングウェニアのWTBコンビ。

 

ワイルズ主将はキッカーでもあり、攻守に常に落ち着いたプレーを見せるあたりは「アメリカのゴロー」とも言えそうな存在。チームの精神的支柱であり、10代前半からイングランドで過ごし、現在もプレミアシップのサラセンズに所属。慣れ親しんだイングランドで最後にいい結果を残したいと高いモチベーションで臨んでくるのは想像に難くない。

 

前述の通り、リオデジャネイロ五輪でも注目を集めそうなテスト、そして07年大会で南アフリカWTBブライアン・ハバナを置き去りにした「大会ベストトライ」で世界を驚かせたングウェニアと、「自分たちのミスから失点する確率が高い」(五郎丸)、RWC2015出場チームの中でも有数のデンジャラスなバックスリーであることは間違いない。

 

また、リーチ マイケル日本代表キャプテンが警戒するのは「8番と12番の強いランナー」。

NO8サム・マノアはワイルズ主将同様、イングランドのプレミアシップで長らくプレーしてきたベテラン。

07年RWC時に19歳でデビューしたCTBスレトン・パラモは、その後、学業の関係もありコンスタントにはプレーできていないが、ビアリッツ(フランス)、サラセンズ(イングランド)など、英仏のトップクラブと契約を結んできた。

このように、確かにジョーンズHCの分析通り、アスリートとしてのポテンシャルの高いメンバーが揃うアメリカ。

しかも、7日の南アフリカ戦では主力を温存。日本戦にすべてを賭けてくる。

日本としては、やはりプレミアシップのニューカッスルでプレーするPRエリック・フライを中心とするアメリカのスクラムにプレッシャーをかけていくこともポイントになりそうだ。

text by Kenji Demura

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今年のPNCでは日本に対して逆転勝利を収めた米国。RWCでの再現を目指す
photo by Kenji Demura